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~9日目~
「さぁぁ~~今日からまた遺跡内ですのっ! この前はご飯が足りなくて散々な思いをしてしまいましたけれど…今回はそうはいきませんのっ! 毎日お腹を満たしつつ、満足してまた地上に戻ってくるのですわっ! 待っていないなさい遺跡さんっ今度こそ満腹で周って見せますのっ」
前回のシリアスは何処へやら…どこか目的が異なっているような気がしないでもないが撮り合えず意気込みも新たに、フェティーは遺跡外の店でなにやら楽しそうに嬉しそうに…でも高いものは手に入らないと残念そうに…ルンルンとお買い物を楽しんでいた。
勿論荷物持ちはトキ…と思いきや、流石に彼には今回の荷物は多すぎるらしく、フェティー自身で荷物を持っているようだ。…意外と動物思いかもしれない(かもしれないではなくっそうなんですの! byフェティー)。
その後を野兎(動物姿)のトキがとてとてとついて周っていた。
「取り合えず~今回は手持ちのお金がちょこっとありますし…簡単な食料と質素な食料と…足りない分はパンくず…あ!トキちゃんのためにおいしい草もちょっと~」
宣言の割には買っている食糧が消極的だとか何だとか言ってはいけない…トキは懸命にもその言葉を飲み込んだ。一緒に旅をする中でちょっと利口になったのである。
「…これだけ買って行けば持ちますかしらね?」
今回は何だか食料が沢山買えてちょっと手持ちの荷物は確かに思いがどこか御満悦な様子をその表情に見せるフェティー。
「うむぅぅ…でもこれ日持ちするんですの? …ちょっと心配ですわよね~…これは私が腕を振るって保存食を作るしk」
「(ちょっ! ちょっと待ってくださいご主人! つ、作るんですか作ると仰いましたか!?)」
「? …なんですの、ときちゃん? 何か不満がありまして?」
「(え…い、いえ不満と言うかなんというか…)」
アナタは料理ができるんですか? と聞きたいが…聞いても応えは決まっている。出来なくてもできると仰るに違いない…しかも自信満々きっぱりはっきり言い切るに違いないのだ。
トキは以前フェティーが料理を作ると1日がかりになってしまうという発言を思い出していた…それ以前に超がつくほど不器用なご主人が料理を作れるのか……甚だ疑問だというにもおこがましいかもしれない疑問がトキの脳裏を過ぎる。
「うふふ、まぁ楽しみにしていてくださいなvですの! 舌がとろけるほどのご飯を食べさせて差し上げますわv」
別な意味でとろとろ(というかドロドロ)の料理を思い浮かべ…トキは背筋に死の恐怖にもにた疼きが過ぎるのを感じた。これが快感だとは断じて思いたくない…そう思うのは気のせいか頭のいっちゃっている人だけに違いないと密かにトキはどうでも良い事を思ってみる。
そして、そんなあれこれ考えていても一応張り切る主を応援してみる…何か偉い兎さんである。だが、台詞が震えるのは御容赦願いたい。
「何作りましょうかしら~腕と鞭が唸りますの~v」
鞭って何ですかとか思いつつ……やっぱり阻止しなければ死んでしまうと思い直し…これから遺跡に向かう道のりで、何とか死の道を免れるべく懸命にちっちゃな頭を酷使するのであった。
…美味しいかもしれないという可能性はきれいさっぱり削除されているのが何だか悲しい。
誰か美味しい料理ができる救世主は現れないものか…そしてできればこの何か色んな意味で危ないご主人に(そしてボクにも)料理を作ってくれる慈悲深いできれば女神みたいな人はいないものか…そんな儚い願いを抱きつつ、今日も彼女らは危険がうようよの遺跡内を元気に歩いていくのであった。
「(現われなくても止めようそうしよう…それがご主人、ひいてはボクのためですっ)」
「? 何か言いまして?」
「何でもありませんよ、タダの小さなだけど命に関わる大きな決意ですので気にしないでください…)」
「そうですの? …まぁお互いがんばりましょうv ですのv」
「(………そうですね…)」
元凶に励まされてとっても複雑な気分の野兎トキちゃんなのでした。
以下背後のつぶやきへ
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そう言って真冬の空を見上げるフェティー。
普段の明るさも見えないその静かなその姿は、どこかもの悲しげにも見える。
「(ご主人……)」
そんな主を、野兎のトキが気遣わしげに見上げていた。
「皆、幸せになれれば良いのに…」
小さな呟きは、誰にも聞き取られる事なく真冬のそらに溶けていく。
フェティーはそれから声もなく空に祈りを捧げていた。
聞き届けられる事はないかもしれないけれど…願わずにはいられない。
真冬の空と、どこか冷たいが気遣うような風と…足元のトキだけが、彼女の声無き祈りを確かに聞いていた…。
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魔女に魔法(呪い?)をかけられ、ぷちおになって旅しているぷにちびな男の子。
元の体を取り戻すために日々奮闘中?
●+αな背後
時々(じゃなく)つぶやいてるヤツ。
会話は多分この色。